機械加工初心者の「これ何?」#96【ギヤの空転トルクの苦い経験を思い出す】

外部からの力でギヤが空転してしまう。これはしばりばめの圧入力で管理していました。圧入力が高ければ、空転トルクは高くなるのですが、圧入荷重が高過ぎるとギヤは壊れ、空転トルクは低くなります。

過去にギヤの空転で苦い思い出がたくさんあります。
その一つを紹介します。
TEDです。

まずはギヤの空転とは?
ギヤA(軸に圧入)は相手ギヤBと噛みあうのですが、ギヤAが何らかの外部力で
ロックした時に軸からギヤAが空転してしまう事。

次に苦い思い出の経緯説明です。
お客様から真鍮製のギヤ図面を戴き、言われた通りにギヤを製作。
軸に圧入して納品。
お客様はサンプルとして10台の市場投入試験を実施。
そうすると数か月後にギヤが空転したから対策をするとお客様から連絡。
お客様と一緒に対策開始。

最後に対策の説明です。
対策の条件ですが、製品の大きさと他部品の構成は決まっているので
ギヤの大きさと軸径φ4は変更できない。
これで苦労しました。
ギヤを大きくして、ギヤの構成やモータ軸径を太く変えてしまえば対策は簡単でしたが・・・
生産数量の多さから考えると圧入で何とかしたい(接着等は不可の意味です)。

下記の対策は失敗から成功への道なりを交えて説明します。

対策1(今回のケースでは失敗でした)
真鍮ギヤの内径小と圧入長さを変更し、ギヤの圧入力を変更。
空転トルク測定(軸を静止させ、ギヤを回して空転する荷重の測定)。
ギヤの空転力が机上の設計値をクリアで完了。
これは最も簡単な方法でしたが・・・。
ですが、衝撃トルク(軸が回転している時にロックさせたら、ギヤが空転)。
再度検討開始です・・・

対策2(これも失敗)
ギヤの材質を真鍮から鉄へ変更し、ギヤ圧入荷重を上げてトライ。
空転トルク自体は真鍮に比べ上がったのですが、まだお客様の要求の衝撃トルクを満足出来ません。
再度検討開始です。

対策3(成功)
ギヤの材質は鉄のままで焼入れを実施。ギヤ圧入荷重は対策2よりさらにアップ。
これで要求の衝撃トルク試験にも合格。
やっと世に中に販売できることとなりました。

このギヤトルク問題でギヤの空転対策を考える手法と試験方法を学びました。

CONTACTお問い合わせ

どんなことでも、
お気軽にお問い合わせ、
ご相談ください。

048-223-1159