設計手法のトップダウンとボトムアップ
こんにちはioです。
たまには真面目な仕事に関係した話しをしてみたいと思います。
設計手法の「トップダウン」と「ボトムアップ」
機械設計の仕事をしていると1度は耳にしたことがある言葉だと思います。
どちらもそれぞれメリットデメリット、やりやすいやりにくいがあって、
案件や条件、設計者のスキルや考え方でもどちらの手法が適しているのかが変わります。
二十数年機械設計をやってきて、私なりになんとなく無意識のうちにそうしているな、
ということをお話ししたいと思います。
まず「トップダウン」「ボトムアップ」それぞれの手法は具体的にどういうことかというと、
トップダウンは初めに製品の最終目標となる形があり、
それに収まる、近づける形で設計を進めて行く手法。
ボトムアップはコアとなる機械要素部分があって、
それに肉付けしていく形で最終の製品を仕上げていく手法。
簡単に言うとこんな感じです。
ではそれぞれどんな時にどの手法を用いるのが適しているのか?
ここからは完全に私個人の経験と思いなので一例、参考として見てください。
・完全新規製品の設計をする場合
・デザイン性が求められる製品を設計する場合
・限られたスペースに納めなければならないものを設計する場合
・自分自身で理想形がイメージできているものを設計する場合
・複数人で共同して設計を進める場合
これらの場合はトップダウン手法が適しています。
どうにかしてこのデザインを実現したい、このサイズで実現したい。
それを実現するためには最終目標のイメージがはっきりしていないとなりません。
特に複数人で共同して設計を進める場合は、全員が同じ最終目標のイメージを共有していなくてはうまくいきません。
このイメージというのがなかなかクセ者で、口頭レベルなんかのフンワリしたイメージではダメで、
ポンチ絵みたいな抽象的な絵でもイマイチです。
設計する上で必要なイメージはもっと具体的なイメージを持っておくことが重要で、
それには3DCADないし3DCGのモデリングデータが最も好ましいと私は考えます。
優秀な機械設計者とは、その最終目標のイメージを機能的、性能的、ユーザビリティなど総合的に判断して、
具現化できる人のことを言うと私は思っています。
簡単言うとイメージの時点で無茶なイメージは作らないということです。
例えば私が共同で設計をするとして、主設計者から最終目標のイメージが提示されたとします。
それを見た時に…正直難しい、でも創意工夫を凝らせば実現可能かもしれない。
というギリギリの絶妙なラインのイメージを出してこられたら、この人は腕が立つ機械設計者だな。
と思わず笑みがこぼれます。
やってやろうじゃないか!!!と設計者の意地を奮い立たせてくれるのです。
これがトップダウン設計のいいところというか、面白いところですね。
早い段階で最終イメージがあってそれに向かって設計をしていく。
比較的設計者として高い能力が求められる手法でもあります。
それに対してボトムアップ。
・最終製品のサイズ制限などの要求が比較的緩い場合
・単純な機械要素の組み合わせで設計できる製品の場合
・デザインや使い勝手より、性能や耐久性、強度が求められる設計の場合
例えばですが、この機能、性能を実現するのはこの製品を組み込むことが必須。
とわかっている場合。
まずその製品ありきで進める必要があります。
そしてその製品の周りに必要な部品を付けくわえて行きます。
この手法だと最終のイメージはある程度設計を進めて行かないとはっきりしてきませんね。
また、最終的な製品サイズなどに制約を設けないことが多いので、製品規模が大きくなりがちです。
こう書くとデメリットばかりな気がしますが、比較的余裕のある設計になるので、
機械的性質や性能、品質は高めに保たれる場合は多いというメリットがあります。
また、出来上がった製品に対して改良を加える場合、手を入れる余地が残っていることが多く、
マイナーチェンジ的な製品を作りやすいということもあります。
どちらの手法もケースバイケースで選択して設計をすることが大事で、
どちらが優れているということはありません。
中には1つの案件の中でも最初はボトムアップ、途中からトップダウンに切り替えることもあります。
もちろん設計者によっても得意、不得意、好みの問題もありますからね。
ちなみに私はトップダウン設計が好きです。
最終製品になった時に良い結果になることも多いと感じています。
が、最終製品を作り上げるまでの苦労やストレスはボトムアップに比べて大きいので
ついついボトムアップ設計を無意識のうちに選びがちな気がします。
特にトクヨシ精機での設計は生産設備的な装置が多いので機械要素の組み合わせでできることが多く、
見た目より性能、耐久性を求められることが多いことも要因ではあります。
新人機械設計者の方はこのあたりを意識して設計すると、ワンランク上の設計者になれる一歩かもしれませんよ?
それではまた。
